「ドイツ年間ゲーム大賞」は、毎年、5月にノミネート作が発表され、そのノミネート作の中から選考委員会によって受賞作が決定され、7月に発表されています。
その影響力は大きく、受賞作は、その年の後半、特に年末のホリデーシーズンの売上も大きく伸びると言われています。もちろん、影響は売上だけでなく、その後のトレンドも占うとも言われており、どのようなジャンルやシステムの作品が受賞するのか、そういった部分でもファンの注目は大きいのです。
その受賞作の発表が、いよいよ7月14日に迫ったということもあり、今回の「手番ですよ。」では、ノミネート作を一挙にご紹介したいと思います。
ノミネート作というのは、どれも、いわば「選考委員会のお墨付き」とも言える作品だけに、これから遊んだり、購入の指針としていただければと思います。
では、早速、行ってみましょう!
ラクダレースを的中させろ!「キャメルアップ」

「キャメルカップ」とも読めるけれど「キャメルアップ」です
まずはこの「キャメルアップ」。
エジプトを舞台に繰り広げられるラクダレースの結果を予想し、賭けを行い、最終的にもっとも多くお金を持っていることを目指します。
「レースに対する賭け」を主題とした作品というのは、過去にも出ているのですが、「キャメルアップ」の新しいところは、レース中に「レグ」と呼ばれる細かい区切りを設け、大局的な予想だけでなく、その時々の流れを予想しての賭けも楽しめるようにしたことではないでしょうか。
加えて、同じマスに入ったラクダは重ねられ、下のラクダが進んだ時には、上に重なったラクダも一緒に進むというルールがあることで、ゲームは常にスリル満点、まったく中だるみすることなく進むようになっているのです。
ラクダを進めるために振られるサイコロは、ピラミッド型に作られた容器から振り出されるというバカバカしい設定や、最大で8人まで遊べるというプレイ人数の幅広さもあいまって、まさに今年を代表するファミリーゲームの一本と言えるでしょう。

賑やかな見た目から、楽しさが伝わってくるはず!
あなたの伝える力が試される!「コンセプト」

日本語版もまもなく登場「コンセプト」
昨今、勢いのあるフランスから、これまた勢いのあるジャンルのひとつ「コミュニケーションゲーム」の新作がノミネートされました。
「コンセプト」は、カードによって決められたお題をボード上に描かれたさまざまなアイコンを組み合わせることで、他のプレイヤーに伝えることが出来るかを競います。
いわば連想ゲームなのですが、「コンセプト」では、お題の直接的なヒントとなるアイコンに駒を置くことで「コンセプト」を示すだけでなく、その駒と同じ色の小さなキューブを別のアイコンに使うことで補足したり、装飾したりすることができるようになっているのがポイント。
例えば、「日本」をコンセプトとして表したい場合は、「国」を表すアイコンにコンセプトを示す駒を置き、同じ色のキューブを「赤」と「白」を表すアイコンに置くことで、「赤と白が特徴的な国」というコンセプトを伝えることができるというわけです。
「ゲーム」として見た場合、ルールに粗いところがあり、あまりシステマチックではないのですが、それが気にならないくらいの圧倒的な楽しさがあり、賑やかに盛り上がることのできるタイトルです。

どのアイコンをどのように使うべきか・・・
王道的ドイツゲームの味わい「宝石の煌き」

渋いアートワークが異彩を放つ「宝石の煌き」
三タイトル目は、タイトルも内容も他の二作に比べると渋めな「宝石の煌き」です。
ルビーやサファイヤといった宝石を決められた組み合わせで集めることによりカードを獲得し、カードを集めることで貴族タイルを獲得し、いかに早く目標得点を達成するかを競います。
「セットコレクション」と呼ばれる「○○を効率よく集める」という王道的なシステムがメインシステムになっています。
獲得したカードは宝石の種類、個数を底上げしてくれるという、「自分が成長することでその後の展開とさらなる成長がしやすくなる」という、やはり王道的システムと言える「拡大再生産」のテイストを盛り込み、これぞゲーム!という面白さが味わえるのがなんといっても魅力でしょう。
それでいて、ルール量は少なめでプレイ時間もほどほどという遊びやすさ。
さらに、ゲームに慣れてくると、他のプレイヤーの動きを見て選択肢を絞るようなキツイプレイ、駆け引きを楽しめるようにもなるという懐の深さもあります。
展開が地味めという印象はあるものの、ゲームとしての面白さは頭一つ抜けているという印象で、やはり非常に魅力的なタイトルなのです。

ゲームの主役「宝石」は、高級感のあるチップで表されます
さて、なにが選ばれるのか?
というわけで、非常に簡単にではありますが、今年のドイツ年間ゲーム大賞のノミネート作をご紹介させていただきました。
その栄冠に輝くのは、どのタイトルでしょうか?
どのタイトルが選ばれたとしても、どれもが非常に優れたタイトルであることには違いありません。
機会があったら、ぜひ、遊んでみてください。
最後に、私の大賞予想を。
それは・・・「キャメルアップ」!
はてさて、どうなりますやら。
TendaysGames