手番ですよ。

2010年06月24日

第4回「能登の超ローカル伝統ゲーム『ごいた』」

ごいた

「ごいた」。

この記事を読んでいる方で、その名前を知っている人はどのくらいいるのでしょうか?
この実にシンプルな名前のゲームであるところの「ごいた」。石川県の能登地方のとある地域のみで遊ばれているという、極めてローカルな、しかしながら、抜群の面白さと、際立った中毒性を持った、隠れた名作ゲームなのです。
今年、この「ごいた」が、洗練されたデザインで、新登場!
これは、アナログゲーム的には大きなトピック!ということで、早速、プロデュースを手掛けたフジワラカイさんにインタビューを行ってきました。
今回は、その一部始終をお届けいたします。




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これが新デザインの「ごいた」!





・・・と、その前に、「ごいた」のルールやら、どんなゲームかをちゃんと教えて欲しいって?
では、この映像を、ぜひ。
なんと、文科省が、「ごいた」のために作ったという紹介ビデオ。
このビデオが非常によく出来てるので、こちらをぜひ、見ていただきたいところ。
これを見た上で、インタビューをどうぞ。





ごいたNo1 [1/6] - YouTube






ごいたNo2 [2/6] - YouTube





「ごいた」との出会い

タナカマコト(以下タナカ):
 早速ですが、「ごいた」を知ったきっかけを教えてください。


フジワラカイ(以下カイ):
 ゲーム会に草場さん(※1)が、なんか汚い駒を持ってきていて「あれは一体なんなんだろう?」という感じで。


タナカ:
 はじめて遊んだ時の印象はどうだったんですか?


カイ:
 これは簡単で面白いなー、と。


タナカ:
 具体的にその面白さの根っこ、みたいなものはどんなところから感じたんですか?


カイ:
 すごいありきたりなんだけど、単純なんだけど奥が深いな、やっぱり歴史があるからかなぁ、とか。(笑)


タナカ:
 長い歴史で削ぎ落とされた感じが。


カイ:
 そう。あと、長い歴史があればこその空気というかね。四人で座ると、なんかこう、気分が盛り上がって「やるぞー」という空気になるんですよね。(笑)それが面白くて。こういうのは、どんなゲームも持っているというわけではないですから、そこが面白いなぁ、というのはありましたね。





(※1)アナログゲーム界の第一人者。トランプゲームに関する著作などでも有名。




「書」が9割!

タナカ:
 で、その「ごいた」を今回、こういった、洗練されたデザインのカードタイプにしたのはどういう風に考えてなんでしょうか?


カイ:
 はっきり言って、第一印象があまりに地味じゃないですか、「これ、本当にゲームなの?」っていう。でも、遊んでみると、これがすごい面白いわけですよ。ぱっと見ただけで、その面白さが伝わるような見た目にしたいなぁ、と。


タナカ:
 遊んだ時のワクワク感がしっかり伝わるような見た目にすれば、これは違ってくるぞ、と。第一印象の「汚い駒」という感じを払拭すべく。(笑)


カイ:
 あと、伝統もあるゲームなので、日本の伝統的なものが持つある種のカッコ良さというのがあるじゃないですか。そういうのを最大限表現してあげたいなぁ、というのはありましたね。少なくとも自分で持ち歩きたくなるようなデザインにはしたいなぁ、と。


タナカ:
 で、具体的に、そのデザインの部分を伺いたいのですが、一番腐心したのは、どういったところだったのでしょうか?


カイ:
 それは、間違いなく「書」ですね。


タナカ:
 書!


カイ:
 このゲームは、デザインと言っても「書」が9割。(笑)


タナカ:
 じゃ、実際に、この書は、しっかりとした書道の先生が?


カイ:
 ええ、女性の先生で。実は、落ち着くまで紆余曲折がありまして。何人かの方にお願いしたのですが、なかなかしっくりこないものがあったりして。どうしても、それぞれの方に持ち味があるじゃないですか。このゲームが、もともと能登の、漁師たちが遊んでいたものなので、そのイメージ通りの書が書ける人、というのが重要だったので。その荒くれ感をしっかり出せる人ということでお願いすることになったのですが、結構、発売までギリギリのタイミングでの決定でしたね。


タナカ:
 じゃ、ぱっと見て、一発で決まったような感じですか?


カイ:
 1.5発くらいですかね。(笑)


タナカ:
 そのあとは、しっかりとゲームのバックボーンなんかを伝えた上で書いてもらったわけですか?


カイ:
 紙で、指示書みたいな感じで。


タナカ:
 はいはい。


カイ:
 キーワードを伝えて。「荒っぽい感じ」とか「バリッとした感じ」とか。


タナカ:
 なるほど。


カイ:
 特に「馬」とか「銀」なんかは、イメージが出ててお気に入りですね。


タナカ:
 たしかにこの「馬」は、迫力あっていいですよね。


カイ:
 これは、最初に書いてもらったんですが、もう一発で決まりました。あと「銀」ですよね。これは結構難しかったみたいですが、これもなかなかいいです。あと「し」も、かなりいいですね。(笑)


タナカ:
 「ごいた」って、8種類しかカードないのに、3枚お気に入りって、ほぼ半分じゃないですか。(笑)


カイ:
 とにかく、書を入れて、落款を押す、というのが重要なポイントだったので。あと、デザインで言えば、「間」をデザインに盛り込みたかったんですよね。このゲーム自体、独特のスカスカさ、余計なものが削ぎ落とされたカッコ良さがあるので、それを。


タナカ:
 なるほど。ちなみに、カード自体がかなり厚みのある作りですよね。


カイ:
 極力分厚くしてくれと、印刷会社さんにはお願いしました。(笑)もともとが駒なんで、バシッと出す時の気持ちよさもあるんですけれど、それをカードでも出したかったんですよね。


タナカ:
 たしかに、これはバシッとやりたくなりますよね。


カイ:
 ペナッとなっては、気持ちよさも半減っていうかね。カードの枚数も少ないので、カード一枚を厚くしても全体の厚みはそれほどにならないので困らないですから、もう、分厚く。(笑)もちろん、コストとの兼ね合いもあるんですが、出来る限り、もう、分厚く。





0624_02.jpg
カイさんお気に入りの「馬」、「銀」、「し」





ごいた保存会

タナカ:
 デザインも、カードの作りも入魂の一作、という感じでしょうか。で、ここからは、実際の「ごいた」の話も聞いていきたいのですが、まず、カイさん自身は能登には行かれたんですか?


カイ:
 まだ行ってないんですよん。ただ、昨年のゲームマーケットで、「ごいた保存会」の方に、試作品のようなものを見ていただいて「作りたい」というお話はさせてもらいました。


タナカ:
 その能登のほうでは、今でも実際に遊ばれているんですか?


カイ:
 二ヶ月に一回くらいのペースで大会をやっているみたいですね。ネット上には、会報みたいなものがあるんですけれど、それを見ていると、もともとは60代のおっちゃんたちのゲームなんですが、最近は、大会なんかを通じて、年齢の幅の広さみたいなものも出ているみたいですね。


タナカ:
 純粋にゲームとしての面白さを知る人が増えてきた、という感じでしょうか。


カイ:
 ただ、個人的には、まだ行けるだろう、と。(笑)能登の地方紙ですとかを見ても、他のお祭りの話題なんかは載っていても、「ごいた」のことはまったくと言っていいほど出てきませんから。本当に、極々一部地域だけでしか遊ばれていないようなので、まだまだ広げていけるとは思います。こういうものを作って、少しでもきっかけになれば、というのはあります。


タナカ:
 で、能登で何十年も歴史があるということなんですが、その起源のようなものっていうのはどういう感じなのでしょうか?


カイ:
 起源は寛永8年、江戸時代にある二人の人が作り上げた、というものらしいです。もともと、近いゲームはあるみたいで、百人一首の「青冠」という遊びなんですが、それをもとにして作ったのかもしれないですね。そして、それが広まっていった、と。


タナカ:
 広まっていないじゃないですか。(笑)


カイ:
 アハハ。細々と続いてきた、代々受け継がれて来た、という感じですね。だから、これを見つけてきた草場さんはスゴイですよね。そのおかげで地元の人しか知らないものを知れたわけですし。


タナカ:
 たしかに、私も知りませんでした。でも、この面白さ、スピーディーさは今風な感じもしますよね。


カイ:
 世代を超えた面白さ、というのはありますよね。


タナカ:
 その地元の人は、どういう時にやっているんですか?やっぱり、漁師だから時化で沖に出れない時なんかなのでしょうか。


カイ:
 あと、閑散期。時間のある時に遊ばれていたみたいです。





ごいた記念館

タナカ:
 そういえば、これ、「ごいた」の不思議なところが、将棋の駒に非常に似た駒を使っているんですけど、将棋の駒を流用しては遊べないんですよね。


カイ:
 これ、はじめて見た人は「将棋の駒でいいじゃん!」というんですけれど、駒の大きさや裏表があるんで、将棋の駒じゃできないんですよね。それもあってあまり広まらないんじゃないないかというのもありました。今でも駒自体は、作られてはいるんですが、一組作るのに二、三ヶ月はかかるみたいなんですよね。作る人自体もほとんでいらっしゃらないようなので、だったら、カードタイプで広く遊ばれるようになれば、というところですよね。


タナカ:
 カードを見ると、英語のインデックスが入っているのですが、やがて世界にも、という感じなのでしょうか?


カイ:
 そうですね、チェスをもとにしたインデックスも入れました。大きな漢字の入ったデザインというのも魅力的に映るんじゃないかとも思っています。本場ドイツにも持っていけたら、とは思っています。どういう形でというのはまだ全然決まっていないのですが、「ごいた保存会」の方にも逐一報告しながら、と考えています。


タナカ:
 広まったら楽しいですよね。


カイ:
 ごいた保存会の会長さんも記念館のような建物を作りたいという夢があるみたいですから。展示だけでなく、館長と遊べたら楽しいですよ、たぶん。(笑)だから、本当に、このカードタイプがその力になれればいいんですが。


タナカ:
 そんなカードタイプをきっかけとして、これから、はじめて「ごいた」に触れる人というのも多いとは思うのですが、どういうところを考えながらやったらより面白いでしょうか?


カイ:
 少し慣れてきたら、ぜひ、「人」を見ながらプレイして欲しいですね。特に対戦相手を見て、勝てるようになったら、また少し違ってところ、より深みが出てくると思います。それと、パートナーとの対話、直接話はしないわけですが、パートナーの気持ちを読み取って勝てたら、気持ちいいいですよ。あと、流れとか勢いが大事なゲームなので、そういう展開も楽しんでいただければ。


タナカ:
 シンプルで、スピーディーなんで、ぜひとも繰り返し遊んでもらいたいですよね。


カイ:
 「ごいた」に触れる機会も設けようと思っていますので、ぜひ、遊んでもらって。買ったけれどルールがよくわからなかった人や、なかなか人数が集まらなくて遊べないと言う方が集まることの出来る場を作りたいですよね。そこからさらに伝播してくれれば。


タナカ:
 そして、それが「ごいた記念館」に繋がれば、ですよね。(笑)


カイ:
 アハハ。


タナカ:
 では、最後、一言頂いて、締めにしたいと思います。


カイ:
 そうですね、夢としては、家族でお正月に遊んでもらえるようになって欲しいですよね。コタツを囲んでみかんを食べながら。おじいちゃん、おばあちゃん、親戚の方々、次のお正月には、ぜひ、みなさんで遊んでみてください。





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「ごいた」をよろしくお願いします!





新ごいた!

実は、この「ごいた」、なんと、パッケージの中に「天九牌」の紙版、名付けて「天九紙牌」も入っているという、お得なパッケージになっておりまして。
この「天九牌」、1000年にも渡る歴史を持つ中国生まれの、これまたなかなか知られていない、隠れた傑作。
かなり独特な、カイさんいわく「偏屈極まりないオヤジみたいな」というルールで遊びにくかった「天九牌」を遊びやすいものにしており、こちらもかなりオススメ。
こういった試みがこれからも続けば、日本のアナログゲーム界も楽しくなるなー、なんて思うわけです。
興味を持たれた方、ぜひ、遊んでみてください。

というわけで、今回はここまで!
では、チューッス!




TendaysGames(テンデイズゲームズ)
天九紙牌/ごいた(TendaysGames内販売ページ)
ピグフォン:アナログ思考で作ってみよう!(フジワラカイさんのblog)
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伝承娯楽「ごいた」


posted by タナカマコト at 12:00| Comment(0) | 第1回〜第25回
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