手番ですよ。

2012年05月29日

第29回「『ドミニオンマニアックス』のマニアックすぎる内容に驚け!」

開場20分後即完売!

去る5月13日に、国内最大級のボードゲームイベント「ゲームマーケット2012春」が開催された。
数多くの海外輸入ゲームや、自主制作の「同人ゲーム」、趣向を凝らしたグッズ、お隣韓国のゲームメーカーブースなどが一堂に会し、過去最高の入場者を記録することとなり、今の日本におけるボードゲームシーンの盛り上がりを実感できるイベントとなった。
過去最高の入場者ということもあり、人気ブースや、前評判の高かったブースには、開場直後から買い求めるファンが殺到し、開場一時間を待たずに「完売」となったブースも多かったようだ。
その中にあって、開場20分という早さで完売し、大きな話題となったアイテムがある。
それが今回紹介する「ドミニオンマニアックス」なのだ。




0529_01.jpg
ドミニオンマニアックス





実は、これ、「ゲーム」ではない。
いまや、ボードゲーム、カードゲームの歴史的作品として世界中で大ヒットとなっている「ドミニオン」。その「戦術書」なのだ。
「ファンブック」ではなく、「戦術書」というのが相応しいだろう。
「ガイドブック」ではなく、「戦術書」というのが相応しいだろう。
とにかく、その「濃さ」たるや、ただただ圧倒されるばかり。
今回は、この「ドミニオンマニアックス」の内容を簡単に紹介してみようと思う。




紙面が黒い!

この「ドミニオンマニアックス」を手にとって、パラパラとめくったとする。
まず、その紙面、各ページの「黒さ」に驚くはずだ。
それもそのはず、160ページ超のそのページのほとんどが二段組み、しかも、一行あたりの文字情報が半端じゃないのだ。
権利関係や、モノクロ印刷という都合とあいまってのことかもしれないけれども、この文字情報をイラスト付きでやっていたら、ページ数は恐ろしいものになったであろうことはたやすく想像できるわけで、「マニアックス」ならではのこだわりと素直に驚きたい。




カタログとしては使えない!?

そして、その内容だが、とにかく「マニアックス」の名に恥じない濃さである。
とにかく、私がもっとも驚いたことのひとつが「カードリスト」がないということだ。
「ドミニオン」というゲームは、「トレーディングカードゲームにおけるデッキ作り」をそのままゲームシステムにしたと言われるだけあり、拡張セットを含めると数十種類のカードが用意されている。
よりゲームを楽しむ、一勝でも多くゲームに勝つ、ということを考えた場合、それらのカードを活用することが重要となるわけで、どのようなカードがあるのかという全体像や、カード個別の効果を把握するということは、「ドミニオン」やり込みの第一歩とも言える要素なのである。
この「ドミニオンマニアックス」では、どのようなカードが用意され、それぞれはどのような効果を持つのか、それをざっと俯瞰できるような「カードリスト」、「カードカタログ」といったものはバッサリカットされている。
ようするに「ドミニオンマニアックス」とは、すでに「ドミニオン」のやり込み道に歩き始めた人に向けて書かれた本というわけだ。
たとえば、「玉座の間研究」というページを見てみよう。
「玉座の間」と呼ばれるカードの効果的な活用方法、戦術について書かれたページである。
このページで「執事」、「橋」のカードを組み合わせた、いわゆる「コンボ」について書かれている箇所があるのだけれど、ページの冒頭にかろうじて「玉座の間」自体の効果の紹介はあるものの、「執事」や「橋」についての紹介はないのである。そして「属州」の購入についても触れられているわけだけれど、「合計9枚の属州を購入でき」と書かれているだけで、なにがどうなってそうなるのかというのは、それなりにやり込んだ人でないと瞬時にわからないはずだ。

これには面食らう人もいるかもしれない。
しかし、日本語版の発売元であるホビージャパンから「ドミニオンへの招待」というガイドブックが出ているわけで、あえて同じような内容をなぞるくらいなら、その分を掘り下げて、勝利に直結した内容を充実させようという執筆陣の意気込みとも言えるわけで、それはすなわち、この「ドミニオンマニアックス」の最大の魅力であろう。




マニアックなこだわりの執筆陣!

執筆陣の意気込みを感じたところで、その執筆陣をみてみようと思う。
発行元となったのは「ドミニオン木曜会」。
東京は新宿を拠点に活動する「ドミニオン」サークルだ。
その名の通り、毎週木曜日に新宿のゲームスペースに集まり、「ドミニオン」を熱くプレイしている。
昨年開催された「ドミニオン日本選手権」において、上位10名のうち、8名をそのメンバーで占めたと言われているだけあり、その実力はまさに日本の中で頭一つ抜けていると言ってもいいだろう。
その代表であるretlet氏をはじめ、この連載でも過去にインタビューさせていただいたてらしま氏など20名を超える執筆陣がテキストを提供しているわけで、この濃さにも納得だ。
そして、日本選手権優勝者であり、その後の世界大会でも圧倒的とも言える強さを発揮し初代世界チャンピオンとなったre_ne(ルネ)氏が執筆していることも忘れてはならないだろう。
この連載で、世界チャンピオンになった直後にインタビューさせてもらったが、「ドミニオンマニアックス」では、世界チャンピオンによる「練習法」を紹介したページも用意されており、開催目前となった「日本選手権」に挑もうとしているプレイヤーにとっては特に気になるページなのではないだろうか。




とにかく読み応えアリ!

「総論」からはじまり、基本セット、拡張セットを個別に掘り下げた「各論」といった柱となる記事以外にも、コラムやトーク、基本となるコンボ紹介、用語集など、「ドミニオン」を面白くするさまざまな記事やページも大充実。
とくにコラムはカードドローを自動化しデータ収集を行うためのソフト「ジェロニモシミュレータ」の紹介や、駆け出しファンにとっては何が書かれているのかを読み解くだけでも大変な「ドミニオンクイズ」など、コラムとしておくにはもったいないくらいの内容となっており、これを拾い読みしているだけでも「ドミニオン」の奥深さを味わえる。




増刷を待て!

「ドミニオンマニアックス」の持つ、パワー、熱量というのはすさまじい。
私も、ごく簡単な紹介にするつもりが、いつにも増して熱がこもってしまった。
そう、「ドミニオンマニアックス」という本はそういう本なのだ。

ボードゲームの一タイトルを取り上げたという内容でありながら、同人誌専門店「メロンブックス」の事前予約は早々に締め切られ、店頭販売分も発売日の昼には完売してしまったという。
「ドミニオン」が、いまやボードゲームの代名詞とも言えるほどのヒットとなっているタイトルだからということだけがその理由ではないだろう。
発売前から「ドミニオンマニアックス」が持つパワーと熱量を、多くのゲームファンが感じ取っていたということではないだろうか。

この原稿を執筆している5月末現在は、残念ながら入手難となっている「ドミニオンマニアックス」だが、早くも増刷が決まり、6月の早い時期には手に入れやすくなるようだ。

7月には日本選手権が控える「ドミニオン」。
今年の世界選手権では、日本がディフェンディングチャンピオンとして世界の猛者を迎え撃つことになる。
「挑戦してやろう」という方は、「ドミニオンマニアックス」で、まず日本の最前線に触れてみてはいかがだろうか。
そして、「木曜ドミニオン会」に足を運び、実際のプレイを体験してみるのもいいかもしれない。

「そこまでマニアじゃないよ」という方。
あなたが「ドミニオンマニアックス」に触れる価値ももちろんある。
「ドミニオン」というひとつのゲームを介して集まったファンが、これだけの本を作り上げたということ自体が「現在のゲームシーンの最前線」とも言えるからだ。
そのパワーは、ぜひ多くの人に感じてもらいたいところである。

最後に、「ドミニオンマニアックス」の執筆者の一人でアリ。現世界チャンピオンでもあるre_ne(ルネ)さんからのコメントを紹介させてもらい、この記事の締めとしたい。

re_ne(ルネ)
「日本選手権上位メンバーが本気で書かせていただきました。普段軽んじられているカードについて掘り下げたり、とにかくその「深さ」を堪能してください!」




【ドミニオン最強戦術本】ドミニオンマニアックス 特設サイト

ドミニオン:木曜会
ルネ (re_ne) は Twitter を利用しています



posted by タナカマコト at 10:46| Comment(0) | 第26回〜第50回
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