手番ですよ。

2013年01月22日

第31回「『レジェンダリー:マーベルデッキビルディングゲーム』が登場!」

世界を席巻するデッキビルディングゲーム

「ドミニオン」が爆発的とも言える世界的ヒットから早数年、いまや「ドミニオン」の発明とも言えるメインシステム「デッキビルド」は、一ゲームジャンルとして確立され、多くのメーカーから「デッキビルディングゲーム」と謳われたタイトルがリリースされている。

昨年発売された「レジェンダリー:マーベルデッキビルディングゲーム(Legendary: a Marvel Deck Building Game)」(以下、「レジェンダリー」」もデッキビルディングゲームだ。と同時に、タイトルにある通り「マーベル・コミック」の版権ものである。
これがアメリカの年末商戦(ホリデーシーズン)にかなり売れたらしい。
これは気になる!というわけで、早速、アメリカから輸入してみた。
そこで、今回の「手番ですよ。」では、この「レジェンダリー」を紹介してみたい。

その前に、「デッキビルディングゲーム」を知らないという方向けに少し「デッキビルディングゲーム」自体を説明しておこう。
「デッキビルディング」とは、日本語に訳すと「デッキ構築」
「マジック・ザ・ギャザリング」「遊戯王」と言ったトレーディングカードゲームでは、プレイヤーは「パック」と言われる、ランダムでカードが封入されたものを買い、カードを集め、それを組み合わせて自分用の「デッキ」作り、他のプレイヤーとそのデッキを使って対戦する。
この、カードを買い集め、自分なりのデッキを作るというところが「デッキ構築」と呼ばれる部分だ。
「デッキビルディングゲーム」は、この「デッキ構築」という行為自体をゲームシステムにしたものを言う。
プレイヤーは、個別に基本となるデッキを持ち、共通の場からカードを選んで獲得し、自分のデッキに加えていく。
カードにはさまざまな特殊効果が用意され、それを活用することで、さらに優れたカードや得点を獲得することになる。カードの組み合わせと使い方によってはいわゆる「コンボ」になり、より効果的になることもある。
カードを買い足す必要がなく(拡張セットは用意されていることが多いものの)、場にどのようなカードがあるかを見極めつつ自分なりのデッキを構築する面白さと、それがハマッた時の興奮を味わうことができるのが大きな魅力だろう。

で、「レジェンダリー」だ。
マーベルの名を冠したデッキビルディングゲームが発売されたのである。




箱からして迫力満点!

マーベルと言えば、昨年公開され大ヒットを記録した映画「アベンジャーズ」をまっさきに思い浮かべる人も多いだろう。
アイアンマンソーキャプテンアメリカハルクと言ったヒーロー達が、一堂に会し、激しいバトルを繰り広げるという、「これぞハリウッド大作!」と言える迫力満点の作品だったわけだが、迫力ということでは、この「レジェンダリー」も負けてはいない。




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レジェンダリー:マーベルデッキビルディングゲーム



このボックスを見ていただければ一目瞭然。
ハルクを中央に据え、ロキ、マグニートーと対峙するキャプテンアメリカとウルヴァリン。そして後ろから間合いを詰めるスパイダーマン&アイアンマン。
加えて、地面の荒れ具合が戦いの激しさを物語っており、興奮させられる。
箱の厚みも通常のボードゲームと比べて、かなり厚みがある。
日本の住宅事情にはまったくそぐわないが、この迫力あるパッケージは、それだけでかなり魅力的だ。

では、実際にゲームの内容を見ていってみよう。




二つの場からカードを獲得せよ!

「レジェンダリー」でも、場のカードを獲得し、自分のデッキを強くすることで進んでいく。
多くのデッキビルディングゲームでは、場、もしくは山は一つであることが多いが、「レジェンダリーで」では、場と山が二つ用意されることになる。
マーベルのヒーロー達のカードによって作られる山「ヒーローデッキ」「HQ」、そして敵役達のカードによって作られる山「ヴィランデッキ」「CITY」がそうだ。
それぞれの山からめくられたカードは、それぞれの場に並べられ、ここからカードを獲得していくことになるわけだが、実は、それぞれのカードには「リクルートポイント」という数値、もしくは「アタックバリュー」という数値が割り当てられており、ヒーローカードを獲得するためにはカードごとに設定されたコスト分の「リクルートポイント」が、ヴィランカードを獲得するためにはカードごとに設定されたコスト分の「アタックバリュー」、いわば攻撃力が必要となるのだ。
ヒーローカードは、獲得することで自分のデッキに入れられ、デッキをより強くすることができる。
一方、ヴィランカードは、獲得することが得点に直結する。
ようするに、ヒーローカードを獲得することで強さを手に入れ、ヴィランを攻撃し倒すことで得点を得ていく、ということが主な流れになるのだだ。プレイヤーは、S.H.I.E.L.D.としてヒーロー達を集め、ヴィランたちと戦いを繰り広げている、というところだろうか。




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HQに並べられたマーベルのヒーロー達





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おなじみのヴィラン「ブラザーフッド」の面々



そしてゲームは、通常のヴィランとは別に用意された「ボスキャラ」とも言える「マスターマインド」というカードがすべて倒される(獲得される)ことで終了となる。
その時点で、もっとも得点を獲得していたプレイヤーが勝利となる。




ヒーロー達は協力してヴィランに立ち向かわねばならない!

ゲームの主な流れに触れたところで、「レジェンダリ−」の大きなポイントに触れておこう。
それは、「協力ゲームの色合いが濃い」ということだ。

「レジェンダリー」では、各ターンごとにヴィランデッキから一枚のカードがめくられ、新たなヴィランが場に並べられることになるのだが、その際に、ヴィランのカードではなく「スキームツイスト」カードだった場合、ヴィラン達のスキーム(計画)が発動し、ネガティブイベントが起こるというシステムがある。
この「スキームツイスト」カードによるイベントは、ゲームを通してめくられた「スキームツイスト」カードが何枚目だったかによって、より影響の大きなイベントになっているのだが、ヴィランカードの山に混ぜられた「スキームツイスト」カードがすべてめくられると、その時点で、プレイヤー全員の敗北となってしまうのだ。

そうなる前に、プレイヤーたちは、自分のデッキを強力にし、「マスターマインド」に打ち勝たねばならない。
ヒーローカードをリクルートによって獲得し、デッキの充実を図るのはもちろん重要なのだが、だからといって、そればかりでは全員敗北となってしまう危険をはらんでいるのだ。
一枚や二枚の「スキームツイスト」カードがめくられているうちは気持ちにも余裕があるが、三枚、四枚と増えていくと、そのスリルは結構なもの。思いの外アタックバリューの高いカードがデッキになければ、なおさらだ。
山と場を二種類にすることでやや散漫になりかねなかったゲーム展開を、うまくまとめることにも一役買っており、「ヒーローものだから」ととってつけたようなアイデアで終わっていない。「スキームツイスト」カードが出てくるタイミングは完全にランダムだという部分にはやや荒さを感じるものの、ある程度は成功していると言っていいだろう。




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マグニートーはもちろんマスターマインドだ!





そのほかの細かいアイデアにも注目すべし!

そのほか、「レジェンダリー」には細かいアイデアがいくつも盛り込まれ、ほかの「デッキビルディングゲーム」との差別化と、「マーベルコミック」らしさの演出が意識されているのがわかる。

例えば、ヴィランカードが並べられることになる「CITY」には、「銀行」「橋」といったロケーションが設定されており、ヴィランによっては特定のロケーションで特殊な効果が発動する場合がある。
このあたりは原作を知っている人にとってはニヤリとさせられるものがあるはずだ。

また、「一般人(Bystanders)」というカードも面白い。
逃げ惑う人々が描かれたこのカード、ヴィランカードの効果により、そのヴィランに捕らえられることがある。
もし、「一般人」を捕らえたヴィランを倒すことができたならば、「一般人」の数だけ得点が上乗せされる。いわば、ボーナス得点だ。
「グリーンゴブリン」は、ゲームに登場するやいなや、すぐさま「一般人」を捕らえてしまうし、「スパイダーマン」は、捕らえられた「一般人」をヴィランを倒さずとも救出できることもある。
これもまた、ニヤリとさせられるポイントだろう。

そのほか、デッキビルディングゲームに「レアリティ」の概念を持ち込んだのも新しい。
ゲーム開始時に、ゲームに登場するヒーローをいくつか選択するのだが、ヒーローごとに用意されたカードがすべて同じ内容というわけではなく、「コモン」「アンコモン」「レア」というようにレアリティが設定され、「ウルヴァリン」のレアカードといったものが存在するように作られているのだ。
レアリティの高いものは、カードの効果も大きく、枚数も少ないため、獲得すること自体がちょっとした興奮に繋がるようになっている。
「ハルクのレアが欲しい!」なんていうモチベーションを刺激するこのアイデアもキャラクターものならではといえるだろう。
ただ、カードの内容を確認する機会は多くなってしまうため、ゲームのテンポを損なってしまっており、そのモチベーションがゲームとしての面白さに結びついていないのは残念なところだ。
また、レアリティの高いカードであってもそのイラストやカードの作りに大きな差があるわけではなく使い回されているのは、はっきり言って寂しい。

「レアリティ」を採用したことによるテンポダウンに見られるように、これらのアイデアは、すべてがうまく機能しているとは言いがたいが、単なるキャラクターものには終わらせないという制作者、メーカーの意気込みのようなものが感じられ、個人的には評価したいところだ。




総評!

「デッキビルディング」というシステムは、かなり安定感の高いシステムであり、採用している時点である程度の面白さは保証されると言ってもいい。
それ以上のなにかがあるか、が「デッキビルディングゲーム」を評価する際に重要なポイントになるかと思うのだが、「レジェンダリー」には、正直、「それ以上のなにか」は感じられなかった。

ただ、他の「デッキビルディングゲーム」と差別化をはかろうという意気込みは十分に感じられるし、「協力ゲーム的な側面」を新しいアイデアとして提示できたのは大きく、アナログゲームファンなら一度はプレイしてみるべきと思わされるポイントとしては十二分だろう。

では、キャラクターものとしてみたらどうだろうか。
これも、現時点ではやや寂しい。
イラストは非常に美しく魅力的だが、バリエーションは少ないし、カードごとの効果もちょっとありきたりでヒーローらしさも弱い。
しかし、すでに拡張セットが発売されることは決まっているようだし、このあたりの判断は、ある程度拡張セットが揃ってからでもいいのかもしれない。
現時点でも、実はヴィランの種類は多いし、ヒーロー達も幅広く登場するので、実はかなり期待できるのではないかと思う。

「デッキビルディングゲーム」としての安定感のある面白さと、マーベル・コミックス人気にあやかってのありきたりなゲーム内容で満足するのではなく、意欲的なアイデアを豊富に盛り込んだタイトルを作ったことは評価したいところだが、どうしても、もう少し完成度を高められれば・・・と惜しい気持ちが先に来てしまう。

拡張セットを含んだこれからの展開によって、完成度が高められ、「日本よ、これがデッキビルディングゲームだ」と言えるほどのタイトルになってくれることに期待したい。




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このほかにもまだまだヒーローは登場する!



・・・実は、アメコミのもう一方の雄「DCコミックス」もののデッキビルディングゲームも、別のメーカーから発売されている。
こちらは、正直、「ありきたりのゲーム」で終わってしまっており、なんとも悲しい内容となっている。




TendaysGames



posted by タナカマコト at 11:00| Comment(0) | 第26回〜第50回
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