手番ですよ。

2013年03月22日

第34回「一大宇宙叙事詩『エクリプス』で9人戦!」

−3月某日都内某所。
−9人のプレイヤーによる宇宙を舞台とした覇権を巡る争いの火ぶたが切って落とされた。


2011年、世界最大規模のボードゲームイベント「エッセンシュピール2011」における発表作の中で、ほかを寄せ付けないほどの話題作となったゲームがある。
それが「エクリプス」だ。




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エクリプス



フィンランドの中小メーカーから発表された「エクリプス」は、宇宙における覇権争いを描いたスケールの大きなゲームだ。
そのシステムからして大ボリューム。陣取りはもちろんのこと、さまざまなリソースの管理や他のプレイヤーとの「外交」による駆け引き、いくつも用意された「技術」の開発と利用、ダイス目に一喜一憂する戦争、といったさまざまなシステムと要素が、とにかくこれでもかと言わんばかりに盛り込まれている。
これまでもシステムや要素のボリュームを売りとしたゲームはアメリカ産のゲームを中心としていくつもあったが、「エクリプス」は、それをヨーロッパ産ゲームの特徴でもある「遊びやすさ」とうまく融合させ、結果、世界中のゲーマーから人気を集めることになり、世界最大のボードゲームデータベースサイト「Boardgamegeek」の評価ランキングをあっという間に駆け上がった
とにかく、すごいゲームなのである。

そして、2012年、その「エクリプス」に拡張セットが登場した。
この拡張セットには、追加することでゲームの幅をさらに広げるさまざまな追加コンポーネントと、ルールが含められているのだが、中でも一番注目すべきところは、追加の種族を用いた9人プレイだろう。
9人。
はっきり言って、それだけの人数を集めるだけでも一苦労である。
加えて、「エクリプス」は決して簡単なゲームではなく、やや敷居の高いゲームである。
プレイするのは、非常に難しいと言わざるを得ない。
しかし、しかしである。
今回、なんと、この「エクリプス」の9人プレイを実際に行うことができたのだ。
9人の好き者が集まっただけ、とも言えるが、とにもかくにも貴重な機会である。
というわけで、今回の「手番ですよ。」では、この「エクリプス」9人戦の模様を簡単にレポートしたいと思う。




開始「二つの手番が同時に進行することに面食らう!」

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開戦!



冒頭に書いたように、「エクリプス」は、大ボリュームのゲームだ。
そのため、もともとからして時間のかかるゲームではあるのだが、9人戦ともなるとそのプレイ時間は相当なものだ。
そのため、この拡張セットではプレイ時間短縮のためのルールが用意されている。
「プレイを行う手番プレイヤーが二人いる」というルールだ。
世の中のほとんどのゲームが手番プレイヤーは一人であるわけだが、このルールを採用した場合、手番プレイヤーを示すマーカーが二つ用意され、二つの手番がそれぞれ独立して回ることになるのだ。場合によっては、少し長く考えようものなら、もうひとつの手番が回ってきて、二回続けてプレイを行う、なんてこともある。
ようは、倍の早さでゲームが進むわけだ。
今回の9人戦に集まったプレイヤーは、割とゲーム慣れしたプレイヤーが多かったのだが、さすがに、開始直後は面食らった。
別に自分の手番でのプレイに時間をかけても問題はないのだが、もうひとつの手番になんだか追い立てられているようで、ついつい焦ってしまうのである。
その焦りもあったせいか、序盤はボードを構成する宙域のタイルをめくる「探索」がいつも以上に行われた気がする。
そして、ある程度宇宙の全容が見えてきた頃合いで、大きく戦況が動くことになる。
三つの勢力による「同盟」が組まれたのだ。




序盤「連合軍興る!」

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さまざまなところで接触がはじまる



今回の拡張セットで新たに加わった要素の中でも、特に特徴的なものと言えるのが、「同盟」だろう。
もともとプレイヤー間での「外交関係」という要素はあったが、これはいわゆる「不可侵条約」的なもので、お互いがお互いの陣地に入ることができなくなる、というだけのものだった(ゲームへの影響は大きいが)。
今回加わった「同盟」は、もっと本格的なものだ。
お互いの陣地は行き来できるし、同じ陣地にいる艦隊は艦隊戦において同一の軍として戦闘に参加することになる。
しかし、もっとも大きな違いは、ゲーム終了時の得点は、それぞれの得点を合算し、それをその同盟に属するプレイヤーの数で割ったものになる、というものだろう。
ようするに、同盟に属するプレイヤーの順位は完全に同じものになるのだ。
その「同盟」が早くも序盤で三人のプレイヤーによって組まれたのだ。
この三人は、特に個性的な特徴をもった種族だったため、お互いを補い合うというところで利害が一致したようだ。攻撃的な種族が暴れ回り、技術系の種族が研究開発の得点を狙う、というところだろうか。
拡張セットを用いての初めてのプレイということもあり、探り探りのプレイが多かった中にあって、思い切った行動と言って良かったが、この同盟が結果、ゲーム展開の主導権を握ることになり、非常に効果的な同盟となった。




中盤「多様な展開を見せ、場は混沌と」

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各地でにらみ合いが続く



中盤に差し掛かったあたりで「同盟を組んだ三人とそれ以外の抵抗勢力」という図式が出来上がった。
他のプレイヤーも同盟を組む、という戦い方はもちろんあるのだが、中盤になってくると拡張セットで加わったさまざまな新要素をどのように戦略に組み込んでいくか、ということもある程度考えられるようになったため、それぞれのプレイヤーが安易な同盟に走るのではなく、新要素をうまく活用しできる限り自勢力の国力や戦力を高めるように動いたというところだろうか。
レアな技術の争奪戦が繰り広げられたり、繋がっているところであれば離れた宙域に一気に移動することができるワームホールを考慮しつつ艦隊を展開したり、というように。
ただ、なかには、新要素に悩まされる勢力もあった。
より強い力をもった「古代種族艦隊」が近くの宙域に現れてしまった勢力がそうだ。
拡張セットでは、いわば「お邪魔キャラ」と言える古代種族艦隊にも新たな要素が加わった。
艦隊数が増え、さらに自ら移動するようになったのだ。
これまでの古代種族艦隊は、出現したら、出現した宙域にとどまり続けていたため、戦力が整うまでは無視してしまうこともできたのだが、今回の拡張セットでは、場合によっては古代種族艦隊も自ら動くようになったため、俄然危険度が増した。
もし、戦力が整っていない状態で攻められるようなことがあれば、勝利が遠ざかってしまうのは言うまでもない。
今回のプレイでも、この強力な古代種族艦隊が本拠地の近くに出現してしまった種族は、かなりの劣勢に立たされることになってしまった。




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周りを古代種族に囲まれる危険宙域





終盤「各地で同盟が組まれクライマックスへ」

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勢力が入り乱れる終盤



早々に同盟を組んだ三人が優位なままゲームはいよいよ終盤へ。
ある程度力を蓄えたところで別の三人が、対抗すべく同盟を組む。
また、他の宙域では、また別の二人が奇襲戦を挑むべく、第三の同盟を組む。
最初の同盟に隣接した宙域にいたため、その同盟に睨まれる形になってしまった残り一人のプレイヤーは、やや国力不足に陥ってしまい、自分の勢力を保つのが精一杯というところだろうか。
そして、いよいよクライマックス。
宇宙のさまざまな宙域で、激しい戦いが繰り広げられ、各勢力はリソースの許す限り研究開発を行う。
第一の同盟と第二の同盟は、激しい争いを繰り広げ、お互いがお互いの手薄な宙域を取り合う展開。
第三の同盟は、第二の同盟の中で隙が生まれた勢力に奇襲攻撃を仕掛け、大ダメージを与えつつ得点の獲得を狙った。
そして、いよいよ終局。
ついに激しい戦いに終止符が打たれた。




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奇襲攻撃を狙う艦隊!





終局「宇宙の覇者は」

結果、第一の同盟に属する勢力の勝利となった。
序盤、早い段階での同盟が功を奏し、逃げ切った格好だ。
第二の同盟は、第三の同盟からの奇襲攻撃で大きく点を削られた格好。
第三の同盟は、最終盤での奇襲攻撃で大きく得点を伸ばすことになったが、中盤での得点獲得が思ったようにできなかったことが結果に大きく響いた。




まとめ「遊ぶ機会は限られるが一度は体験する価値大あり」

プレイ時間約6時間
非常に長いプレイとなった。
しかし、プレイの熱中度は高く、まったく中だるみすることもなかったため、このプレイ時間は苦にならなかった。
ただ、短縮のための手番同時ルールを採用してこのプレイ時間だから、もし採用しなかったとしたら、一日でゲームを終えることはできなかっただろう。
しかし、この手番同時ルールを用いると、さまざまな処理のタイミングに問題が生じてしまう可能性があり、あまり厳密なプレイを求めてしまってはだめなようだ。それを考えると、プレイ時間以上に、そのあたりをおおらかに考えられるかどうかというところを考慮しなければいけないかもしれない。
そして、肝心の各種追加要素。
これはどれもうまくいっていると言っていいだろう。
基本セットの不満点を解消するものあり、展開に多様性を生むものあり、スケールを大きくするものありと、「エクリプス」を好きな人なら、どれも納得のもののはずだ。
これらをフルに組み込んでの9人戦。
非常に遊ぶ機会は限られるだろう。
しかし、ほかのゲームでは味わうことの出来ない、濃密でドラマティックな体験が待っている。
もし、この記事を読んで興味を持ったならば、ぜひ、なんとか場を作って挑戦してほしい。

ちなみに、この拡張セットの各種要素は、どれを採用するかどうかは、自由に選ぶことができるようになっている。
9人戦を到底無理だとしても、手元に置いておいて損のない拡張セットだと言えるだろう。




エクリプス:拡張「古代種族の夜明け」
TendaysGames
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posted by タナカマコト at 10:22| Comment(0) | 第26回〜第50回
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