手番ですよ。

2013年04月11日

第35回「『テラミスティカ日本語版』はこうして出来ました!」

先日、私のテンデイズゲームズから「テラミスティカ」の日本語版が発売されました!

「テラミスティカ」は、昨年10月にドイツで開催された「エッセンシュピール2012」の会場での人気投票で2位となり、初版(英語&ドイツ語版)はあっという間に完売したという人気タイトル。
テンデイズゲームズでも、初版を和訳付きで販売していたものの、やはりすぐに品切れ。そして、すぐに二版が増刷されることになったのですが、その増刷のタイミングで日本語版も制作されることになったのです。
今回の「手番ですよ。」では、この「テラミスティカ」の日本語版が出来るまでを簡単に紹介したいと思います!


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テラミスティカ日本語版は絶賛発売中です!





ドイツにて

話の発端は、10月下旬の「エッセンシュピール2012」まで遡ります。
商談自体は、ドイツ渡航前、10月に入る頃にはすでにまとまっており、「エッセンシュピール2012」の会場では、「よろしく」の挨拶くらいだったため、開幕を前にすべてが終わっていたのですが、メーカーの担当者(と言っても、個人でやっているのでオーナーでもあるわけですが)から「3日目にもう一回会いたい」との連絡がありました。
そこで3日目にメーカーブースへ行ったところ、メーカーから次のような話を聞かされることになったのです。
「開催2日で用意した分がすべて完売したよ!商談は続いているので、増刷は、かなり規模が多くなりそうだ。」
続けて、「各国語版が作られることになったとして、日本語版制作に興味はあるかい?」とのこと。
担当者は、もともと売り込み上手で大げさなところもあり、この時点では、正直、あまり現実的な話には聞こえません。
なにより、そもそもゲームのスケールが大きく、難易度もやや高めな上、価格も高かったため、日本でどれだけ受け入れられるか、まだまだ予測が立たなかったのです。担当者が目安として提示してきた生産数が非常に多かったことも簡単には考えられない理由でした。
結局、「その時が来たら、また話を聞かせて欲しい」とだけ伝えて帰ってくることになります。




発売後から決定まで

エッセンでのやりとりからほぼ一ヶ月後。
「ゲームマーケット2012秋」が東京浅草で開催され、そこで日本に届いたばかりの輸入版「テラミスティカ」が並ぶことになります。
すでにエッセン会場での人気投票や、海外での反応などを受けて「面白いらしい」と期待感が高まっていたこともあり、ゲームマーケット販売分として用意していたものは、すぐに完売。
そして、ゲームマーケットから約二週間後の店頭と通販での一般販売分もあっという間に完売。
たしかに面白いタイトルであり、この年のエッセンシュピールを代表するタイトルであることには間違いないのですが、私の想像の遙か上を行く大反響。
この大きな反響があったことにより、日本語版制作へのモチベーションが俄然高まることになります。
また、このタイミングと前後して、メーカーからも具体的な日本語版制作の提案があったことも、日本語版制作の後押しとなりました。
この頃には、すでに海外でも品切れとなっており、再版が具体的に決定しつつあったこともあり、日本語版制作は出来るだけ早急に決める必要があったわけですが、最終的な決定の判断を下すに、それほど時間がかからなかったことは言うまでもありません。




契約

制作が決定したならば、契約を取り交わすことになります。
金額的なものや生産個数についてはもちろんのこと、リリース時期や輸送の手配など、事細かなところまで契約書には記載されているため、細部までチェックが必要となります。
そして、契約の中にはゲームのルールや、アートワークについても具体的な記載がされていることが多いのです。
契約書の内容となるため、すべてを具体的に書くわけにはいきませんが、問題のない範囲で、ちょっとだけ挙げると次のようなものがありました。

・タイトルを変更しない
・ルールを変更しない
・ゲームデザイナー、グラフィックデザイナーの名前は必ず入れる

どれも当たり前と言えば当たり前ですが、「タイトルを変更しない」という文言がなければ、「ドキドキ不思議惑星大戦争」なんてものになっていたかも・・・。
・・・いや、さすがにそれはないですが。




データ作成から入稿

無事、契約が済んだならば、いよいよ日本語版のデータ作成です。
メーカーから送られてきたデータを元に日本語化が必要なところを差し替えていくことになります。
「テラミスティカ」は、言語依存のそれほどないタイトルでもあり、また、輸入版を取り扱った際にルールブックの和訳は出来ていたため、こちらの負担は比較的少ないかと思っていたのですが、メーカーから聞かされた締め切りが非常にシビア。時間との闘いとなりました。
デザイナーさんから上がってきたデータをチェックしてはデザイナーさんに戻し、ふたたび上がってきたデータをチェックしてはデザイナーさんに戻し・・・と繰り返して完成度を高めていきます。
この時、一部の種族名は、輸入版に添付していたルールの和訳に準拠して「巨人」や「行者」といった漢字の名前を使っていたのですが、デザイナーさんからの指摘により「漢字名をそのままボード上の種族名に流し込むとバランスが悪い」ことが判明。
デザイナーさんとやりとりを重ね、日本語とドイツ語を併記することなども試したりしたのですが、最終的に、すべてカタカナ(カタカナ英語)で統一することに決まりました。
結果、行者(ファキア)、遊牧民(ノマド)など、一部にイメージがわきにくい種族名も出ることにはなりましたが、一方で、雰囲気の統一感も生まれ、いい形で落ち着いたように思います。
こうして、無事、データが完成し、入稿となったわけですが、直後、メーカーの担当者から来たメールは、意外なものでした。
「ボックスにうちのメーカーロゴはいらないよ。」と言うのです。
メーカーの見識としては「『テラミスティカ日本語版』は君たちの商品だ」ということのようなのです。
たしかに、すでに公開されていた日本語版以外の言語の版を見ると、すべて、もとのメーカーのロゴは入っていません。そして、言わんとすることもわかります。
しかし、日本においては、もとのメーカーのロゴも商品価値の一部と見るところがあります。
私は「日本人はもとのメーカーに対してリスペクトしているから、むしろ、ロゴは入れたいんだ」と伝えました。

これで、入稿は完了!あとは、生産されるのを待つのみとなったわけです。


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種族の名前は悩んだ





突然のルール変更!

入稿してしばらくたった頃。
メーカーから、届いたメールに面食らうことになります。
「ルールを一部変更したから、マニュアルもそれにあわせて修正してほしい」というのです。

しかも、加えて「すでに工場のスケジュールがギリギリだから、24時間後までに!」と言うのです。
このメールが届いたのは、日本時間の23時頃。
ドイツは16時頃でしょうか。まだ夕方です。ドイツ人にしてみれば、まだまだ余裕があるのかもしれません。
しかし、こちらは、翌日の午前中までは作業が止まっているようなものです。12時間のロスがあるようなものです。
このギリギリのタイミングでは、訳者へ送るわけにもいかず、メールを受け取った直後から私自身が該当箇所の和訳をすることにしました。
幸い、文章量としてはそれほどでもなかったため、夜のうちに終え、デザイナーさんへと連絡&データ送信。
デザイナーさんも無理をおして、すぐに修正をしてくれたため、なんとか締め切りまでに終えることができました。
日本語版制作は、スケジュールが厳しくなるのはいつものことではあるのですが、今回ほどのことはなく・・・無事に終えたからよかったものの、本当に焦りました。




完成!

こうして、ついに工場で生産開始です。
あとは待つだけです。

待つこと約一ヶ月。
メーカーから次のようなメールが届きました。
「君たちのゲームが完成したよ!すごくクールだよ!」

その後は、輸送会社の手配、倉庫との打ち合わせなど、日本国内ので作業が続きます。
そして、いよいよ「テラミスティカ日本語版」の発売となるわけです。

というわけで、簡単に日本語版制作の流れをご紹介させていただきました。
実は、ひとつひとつはもっともっと大変だったりするのですが、あくまで今回は、流れをご紹介、ということで。

こんな風に作られた「テラミスティカ日本語版」、より多くの方に楽しんでいただければ幸いです。
よろしくお願いします!




テラミスティカ(TendaysGames)
TendaysGames



posted by タナカマコト at 10:16| Comment(2) | 第26回〜第50回
この記事へのコメント
はじめまして
ゲームマーケット2012秋でテラミスティカを購入させて頂いたんですが、
こちらの文章中にある「ルール変更」の内容を確認することは、
日本語版を購入しないと出来ませんでしょうか?
Posted by 有沢 at 2013年04月18日 12:14
お求めとご質問、ありがとうございます。

当店のウェブサイト、商品ページにルールの変更箇所についての説明を載せました。
内容物には変更なく、バランス調整のためのわずかなルール変更となりますので、ウェブサイトでの説明通りにプレイしていただければ、初版でも差がなく遊ぶことができます。

よろしくお願いいたします。
Posted by タナカマ at 2013年04月24日 17:43
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