手番ですよ。

2013年05月10日

第36回「『テレストレーション日本語版』のできるまで(前編)」

前回、この春にリリースしました「テラミスティカ日本語版」制作裏話を記事にしたところ、大変にご好評いただきました。ありがとうございます!
その好評に気をよくしまして、今回は「テレストレーション日本語版」の制作裏話をお送りしたいと思います。




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「テレストレーション日本語版」が発売となったのは、昨年の11月。
日本語版制作の話は、そこから遡ること一年。2011年の11月からはじまります。




最初のメール

2011年春に英語版を販売しはじめ、人気タイトルとなっていた「テレストレーション」、具体的なプランはなかったものの、メーカーにその旨をメールしてみたのです。しかし、このときは、返信なし。
具体的なプランがなかった上に、年末年始で忙しかったこともあり、こちらからさらにメールでこの件についてメールをすることもありませんでした。
そして、しばらくなにもないまま時間だけが過ぎていくことになります。
その後になってわかったのですが、このとき、メーカーに対して私の送ったメールはそもそも届いていなかったようなのです。具体的なプランもなく、年末年始で忙しく、という状況では、メーカーと交渉に入っていたとしても、実現は難しかったように思います。今にして思えば、メールが届かなかったことは幸運だったのかもしれません。




交渉開始

少し時間が過ぎ、2012年3月。
テンデイズゲームズは、はじめての日本語版タイトルとなる「K2」の制作が大詰めを迎えていました。
非常に大変な時期ではあったわけですが、「K2日本語版」制作をきっかけとして、私は、日本語版制作に対しての手応えを感じていました。
そして、「テレストレーション日本語版」発売に対しても、かなり意欲的になっていたのです。
私は、再び、メーカーにメールを送りました。

数日のうちに担当となるエージェントから返信がありました。
内容は、「日本語版に非常に興味があるから、より具体的に話をしたい」というもの。
このときに一回目に送ったメールが届いていなかったことがわかったわけですが、私にとっては、それはもう大した問題ではなく、日本語版への第一歩を踏み出せたことが嬉しかったのです。
実は、「テレストレーション」を発売しているUSAopoly社は、私が今まで仕事をしてきたメーカーと比べるとはるかに大きく、簡単にあしらわれてしまうと思っていたのです。
そう思っていたところへの「具体的に話をしたい」という返事、これは本当に嬉しい返事でした。

具体的なやりとりはすぐにはじまりました。
というのも、メーカーと直接やりとりをするわけではなく、間に入ったエージェントである、リチャードとやりとりをすることになっていたのです。
エージェントは、話を簡潔に進めるのが仕事のため、とにかく返信が早く、やりとりはどんどん進められるというわけです。

やりとりは、今までになくスムースに進められました。
すぐに細かいところが具体的に話されていきます。
私は、「これは意外と簡単にまとまりそうだ」と思っていたのですが、すぐにその考えが甘いことを思い知らされることになります。




生産個数の壁

メーカーのUSAopolyが大きいメーカーなのはさきほど書いた通り。
それもあって、提案された生産個数がとんでもない数だったのです。
詳しい数は書けませんが、この数は、日本の大手おもちゃメーカーにとっては大した数ではなかったかもしれません。また、日本におけるおもちゃの市場規模からしても、それほどでもないのかもしれません。
しかし、テンデイズゲームズの規模から考えたら、あまりに多すぎる数だったのです。
そして、日本におけるボードゲームの市場規模から考えても、同様でした。
私は、エージェントのリチャードに、日本におけるボードゲーム市場の現状を事細かに説明しました。過去のこと、現在のこと。カプコン版「カタン」やバンダイ版「チケット・トゥ・ライド」の話も交えたりしました。そう、日本においては、ボードゲームに関して、あまり大きな期待を持てないことを正直に話したのです。
その上で、「テレストレーション」の持つ魅力と可能性、そしてなにより、数は売れずとも「テレストレーション」という商品の価値を必ず上げることを力強く伝えたのです。
リチャードは、日本の小さな店の話のひとつひとつにちゃんと耳を傾けてくれました。
そして、力強く「こちらも努力する」と言ってくれたのです。

これで生産個数がそれなりの数でまとまればよかったのですが、物事はそう簡単にはいきません。
「コスト」が、次の問題として大きくのしかかってきたのです。
メーカーから提案された生産個数は、「採算の取れるライン」でもあったのです。
こればかりは、私の気持ちがいくら強くても、どうにもなりません。
しかし、私の気持ちを汲み取ってくれていたリチャードの尽力により、なんとか乗り越えられることになります。
リチャードは、通常使っている工場だけでなく、そのほかのいくつかの工場にも話を持ちかけ、見積もりを取ってくれたのです。
と同時に、どうやってコストを削減できるか、知恵を絞ってくれたのです。
結果、付属品のスケッチブック、ペンといったコストが高いものの、日本語でなくても大きな問題にはならないものについては、英語版を流用するという形を採用することになりました。
これにより、生産数を下げても、極端にコストが上がることを避けられることになったのです。
とはいえ、実際の数は、まだまだ多く、決して安心のできるものではありませんでしたが、なんとか実現できる数ではありました。
これはもう、行くしかありません。
ちなみに、この交渉に費やしたのはおよそ二ヶ月。
でも、これだけの時間をかけた甲斐があったというもの。
「テレストレーション日本語版」は、大きく動き始めたのです。




エージェントのリチャード

後日、東京おもちゃショーの会場で直接リチャードから聞くことになったのですが、リチャードのエージェント会社もベンチャーとしてはじまり、起業当初は熱意だけで仕事をしていたというのです。
そして、熱意溢れる私に親近感を覚え、力になりたいと思ってくれたとのこと。
「エージェント」と聞くと、ビジネスライクで効率重視なイメージを持っていたのですが、リチャードの話を聞き、そのイメージを改め、と同時に、「テレストレーション」を必ずや成功させようと再び強く思ったのでした。




後編に続く

さあ、具体的な目処が立ったところで、いよいよ契約です!

というところで、前編はここまで!
このあと、契約、製作、生産、輸入とまだまだ続きます!
実は!


後編をお楽しみに!




テレストレーション(TendaysGames)
TendaysGames





posted by タナカマコト at 10:37| Comment(0) | 第26回〜第50回
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