『詠み人知らず』とは
サイゴンで 出会う昔の 恋人よ −詠み人知らず
五・七・五の中に、一つの世界を作り上げる俳句、川柳。
その俳句(川柳)を、参加者みんなで作り上げるという、傑作パーティーゲームがあります。
それが「詠み人知らず」。
人数を問わない上、紙とペンさえあればどこでも遊べる手軽さもあり、これからの年末年始のパーティーシーズンにぴったり!
というわけで、今回の「手番ですよ。」では、この「詠み人知らず」を紹介してみたいと思います。
とあるゲーム会の参加者の一人によって発案された「詠み人知らず」は、もちろん、日本生まれ。
と言っても、そういった商品があるわけではなく、ルールが公式に細かく作られたわけでもなく、さまざまなゲーム会で遊ばれるうちに口伝でルールが伝わっていった、「口コミ」で人気となったゲームなのです。
ゲームはごくごく単純。
ざっくりと言うと、「紙を回して、一文字ずつかわりばんこに文字を書き入れていき、俳句を完成させ、そのあとで発表と採点をする」というもの。
紙の回し方や得点方法には、ある程度のルールがあるので、詳しくはネット上で探してみてください。すぐに見つかります。
で、このゲームの面白さは、なんと言っても、予想外な俳句が出来上がるというところ。
前後の文字の繋がりを考えて文字を書き入れていくわけですが、それが伝わったり、伝わらなかったり・・・。
しかも、いろんな人が文字を書き入れていくことで、自分が思っていたものとはかけ離れたものが出来上がるのはしょっちゅうなのです。
発表の際には、爆笑の連続。いやはや、人間の発想の広さには驚かされます。
その一方で、びっくりするくらい美しく、意味深な一句が出来上がることもあり、さらに奥深さを感じさせられたり・・・。
バカバカしいゲームではあるのですが、どこか知的さを・・・いや、それは言い過ぎかもしれませんが。(笑)
さて、ゲームをごくごく簡単に紹介したところで、このゲームを愛しに愛しすぎたために、傑作選を同人誌として発表してしまったという、スゲさんに、その魅力といくつかの句を紹介してもらいたいと思います。
**********
みなさん、はじめまして、スゲです。
詠み人知らずの魅力はたくさんあるのですが、あえて1つ、と言われれば「作品が残ること」だと思っています。
言葉を使ったコミュニケーションゲーム、パーティーゲームは色々ありますが、コンポーネントの関係上その場でしか楽しめないものが多いですよね。
しかし、詠み人知らずはペンと紙さえあればどこでもできる上、できた作品がそのまま残るので、保存しておけば後々まで楽しめるのです!
私がこれまでにプレイしてためた作品は200首を超えます。中には日本語になってない句もありますが、作品を読むだけで遊んでいたときの楽しさを思い出します。
カードやボードが汚れたりする心配もないので、これからの年末年始の飲み会にピッタリのゲームだと思います。酒飲んで酷い下ネタ川柳を作りまくりましょう!(笑)
雨の夜 傘と消えゆく 君の影
普通にやるのでは物足りなくなってきたので、近頃はよくテーマ縛りをつけたりします。
これは「テーマ:初恋」。普通に良い句ですが、初恋のエピソードと思うと更に趣深いですね。
ドイツ虫 英語で書くと ギルボーン
このゲームは基本ひらがなのみを使って書くのですが、ギルボーンの部分が満場一致でカタカナを使っていて妙に面白かった一品。
この無言のやりとりというかパスの受け渡しがこの作品の魅力です。
おならでぷ おならがでびゅる みがびゅびゅる
2日間に渡って遊びまくったあとに作った傑作。人は疲れはてるとここまでバカになれる!
「おならでぷ」でなんとか我慢して強がっているのに、次の瞬間なすすべなく決壊してゆく様が生き生きと描写されています。
**********
いやはや、最後の句は凄いですね・・・。
短い中に、実にうまく緊迫感と、どうにもならなかった光景が盛り込まれていると言っていいでしょう。
こんなとんでもないものが生まれるのも、また「詠み人知らず」の面白さであり、魅力なのです。
というわけで、本当に簡単にではありますが紹介いたしました「詠み人知らず」。
年末年始、人が集まった時は、試してみてはいかがでしょうか?
酒が入っていてもオーケー!思いつきだけで書いてもオーケー!
紙とペンを用意して、ぜひぜひ、遊んでみてください!